(村山富市の)女性のためのアジア平和国民基金の不手際

従軍慰安婦等,侵略戦争時の日本国の責任を認めることなく,「償い金」を強行的にばらまいてきた国民平和基金。申請がない人にもばらまき,さらに支払ったことを本人にすら明らかにしようとしない国民平和基金。結局,従軍慰安婦等をはじめとする人権問題の解決をいたずらに先送りにしたまま,何ら効果をあげることなく,今年1月に韓国,台湾で業務終了に追い込まれた。
この「申請がない人にもばらまき,さらに支払ったことを本人にすら明らかにしない」件に関して,次に引用。

本日2月25日14時より、VAWW-NETジャパンは女性のためのアジア平和国民基金の不誠実な対応と欺瞞について記者会見(弁護士会館12階第一弁護士会1208号室)を行なって抗議声明を発表し、財団法人アジア「女性のためのアジア平和国民基金」にFAXで 送付しました。
以上ご報告するとともに、抗議声明を公開します。
広くお知らせ下さり、この問題を共有してくださいますようお願いいたします。

VAWW-NETジャパン事務局

2月25日

******以下VAWW-NETの抗議声明******

女性のためのアジア平和国民基金」 理事長村山富市


国民基金の不誠実な対応と欺瞞に抗議し、国民基金が失敗であったことを明確に総括することを、強く求めます!!

先般、韓国在住の沈達蓮さんご本人が受領していないにも関わらず「償い金」が支給されていたことが発覚しました。この件については、これまで沈さんの正式代理人である横田雄一弁護士が貴基金に再三問い合わせ(※第一回めの照会は2003年1月20日付け、第二回目は2003年9月2日付け)、確認を求めてきました。しかし、貴基金は「本人でないと答えられない」と、正式な委任状まで示した代理人の問い合わせを拒み続け、事実関係をひたすら隠し続けてきました。払い込まれているのかどうか分らないことで沈さんは不安を募らせ、2年という長い歳月、悶々とした苦しい気持ちを抱えて過ごされてきました。

去る2月14日、沈さんは「もうこれ以上待てない」と、第7回日本軍「慰安婦」問題アジア連帯会議に参加するため来日し、その機会をとらえて貴事務所に行き、直接回答を求めました。沈さんのこうした行動で、貴基金はようやく口を開きましたが、それは驚くべき内容、沈さんにはすでに「償い金」が支払われているというものでした。一体、いつ、誰に「償い金」を払い込み、誰に「総理のおわびの手紙」を送付したのでしょうか?


基金は、国民基金は来る2007年3月末日にて解散すると表明していますが、国民基金がもたらした様々な問題についての明確な総括は回避しています。貴基金のホームページには「中には意向にそわない被害者を疎外する団体もある。被害者を保護すべき団体が被害者を踏みにじっているのである。自分の国の人間、被害者を支援するはずの団体の人間から非難される、時には団体の目的によって利用されるなど、被害者たちは身も心も切り刻まれた非常に惨めな状況にある」(※第4回「慰安婦」問題に関するラウンドテーブル報告)など、支援団体に対する誹謗・中傷を掲載し、自らが犯した過ちについては全く向き合おうとせず、2006年度の解散をもってこの問題を終わらせようとしています。

被害者間に、被害者と支援団体に、支援団体の間に分断と混乱を生じさせた責任は、国民基金が被害者に受け入れられないものであったにも関わらず、それを無理やり、陰湿なやり方で被害者に渡し、この問題を終わりにしようとした貴方にあります。

2月12日13日に東京で開催されたアジア連帯会議では、「償い金」を受け取った被害者も受け取りを拒否し続けた被害者も、どちらにとっても国民基金は被害者を侮辱 し、深い傷を与えたものであったことが確認されました。

国民基金は、「慰安婦」問題を何ひとつ解決しておらず、被害者の尊厳の回復どころか、被害者を更に傷つけるものでした。何の解決をももたらさなかったばかりか、むしろ、日本政府が、被害者が求める責任を行使することを回避する「アリバイ」として、その「役割」を果たしてきたといえます。


私たちは、以下の通り、沈さんに対する不誠実で欺瞞に満ちた国民基金の対応について謝罪し、真実を明らかにすると共に、これまでの事業の過ちを被害者と国際社会に向けて表明することを、強く求めます。


1、 沈達蓮さんに対して、直ちに全ての真相を明らかにし、謝罪すること。
2、 沈さんと同様のケースがないか、即刻、調査を行い、その結果を公表すること。
3、 多くの被害者から受け取り拒否があったにも関わらず、被害者の声を無視して「支給」を断行したのはなぜなのか、その理由を明確にすること。
4、 オランダに対して行った「医療・支援事業」は、「総理の手紙」すら個人に送付されていないが、オランダに対する事業はなんだったのか?
5、 インドネシアに対して高齢者福祉施設の建設などを進めてきたが、そこに被害者が入居していなかったり、被害者に案内も行っていない事実が発覚して久しい。インドネシアに対する事業と「償い事業」の関係を明確に説明すること。
6、 韓国など支援団体を傷つけてきた行為に対して謝罪すること。
7、 国民基金が被害者の尊厳の回復にならなかった総括を、明確に行うこと。

なお、以上について、3月10日までにご回答いただきますよう、お願い致します。

2005年2月25日

「戦争と女性への暴力」日本ネットワークVAWW-NETジャパン)